アメリカ家電量販店市場を徹底解剖:主要競合の戦略、成功のカギ

アメリカ 家電量販店業界 業界地図

アメリカの家電量販店業界は、家電専門チェーンとホームセンター・総合量販店が家電需要を奪い合う競争の激しい市場です。実店舗での体験価値の強化とオンライン注文の融合を進める主要企業の戦略が明暗を分けています。

今回は、そんなアメリカの家電量販店業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて10社の最新情報をお届けしていきます!

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目次

アメリカの主要家電量販店企業7選〜ローカル編〜

Best Buy Co. Inc.(ベストバイ)

1966年に音響機器店『Sound of Music』として創業し、ミネソタ州リッチフィールドに本社を置く全米最大の家電量販チェーン。ニューヨーク証券取引所に上場する(銘柄BBY)。スマートフォンやパソコン、テレビ、生活家電まで幅広く扱う専門小売として北米市場を代表する存在である。

2025年2月1日時点で米国内に約1,050店舗、カナダを含めて全体で約1,100店舗を展開する。自社ブランドのInsigniaやDynex、AVブランドのMagnoliaなど複数のプライベートブランドを製造販売している。

2024年度(2025年2月期)の売上高は約415億ドルで前年比約3%減、既存店売上高は2.3%減となり、EC普及や関税環境の影響を受けた。

デジタル体験の強化や外部事業者が出品するマーケットプレイスの開設、店舗改装を進めるほか、法人向けやヘルスケア事業の拡大にも取り組む。不採算店の閉鎖を続けつつ、収益性を重視する運営へ軸足を移している。

出典:https://corporate.bestbuy.com/

The Home Depot, Inc.(ホームデポ)

1978年に創業し、ジョージア州アトランタに本社を置く世界最大のホームセンター。住宅改修用品や建材、園芸用品に加え、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電を主力商品の一つとして扱う。ニューヨーク証券取引所に上場する(銘柄HD)。

2025年2月2日時点で米国・カナダ・メキシコに約2,350店舗を展開し、従業員は約47万人に上る。米国の大型家電販売では最大級のシェアを持つ。

2024年度(2025年2月期)の売上高は約1,595億ドルで前年比4.5%増、既存店売上は通期で微減ながら第4四半期は増収に転じた。2024年には建材流通のSRSディストリビューションを約180億ドルで買収し、プロ向け事業を強化した。

注文後の宅配や店舗受け取り、AIアシスタント『Magic Apron』などデジタル施策を拡充し、プロ顧客とDIY顧客の双方への浸透を進めている。

出典:https://corporate.homedepot.com/

Loweʻs Companies, Inc.(ロウズ)

1921年に金物雑貨店として創業し、ノースカロライナ州ムーアズビルに本社を置くホームセンター大手。ホームデポと並ぶ二強の一角で、冷蔵庫や洗濯機といった白物家電を主要カテゴリーの一つとする。ニューヨーク証券取引所に上場する(銘柄LOW)。

2025年1月末時点で全米に約1,700店舗を展開し、従業員は約30万人を超える。かつて進出したオーストラリアやカナダ、メキシコからは撤退し、北米に事業を集中している。

2024年度(2025年1月期)の総売上高は約837億ドルで前年比約3%減、純利益は約70億ドルだった。住宅市場の停滞を背景に既存店売上は前年を下回った。

中期戦略『Total Home Strategy』の下でプロ顧客の開拓とオンライン販売を強化し、2025年には内装大手アーティザン・デザイン・グループを買収した。AIを活用した顧客体験の向上にも取り組む。

出典:https://corporate.lowes.com/

Target Corporation(ターゲット)

1902年に創業したデイトン百貨店を源流とし、1962年にそのディスカウント部門『ターゲット』として設立された総合小売大手。ミネソタ州ミネアポリスに本社を置き、ニューヨーク証券取引所に上場する(銘柄TGT)。衣料や生活雑貨に加え、テレビや生活家電も扱う。

2025年2月1日時点で全米に約1,980店舗を展開し、従業員数は約41万5000人である。米小売ランキングでも上位に位置する。

2024年度(2025年2月期)の総収益は約1,066億ドルでほぼ横ばい、既存店売上は微増、純利益は約41億ドルだった。消費者の節約志向を受けて客足は伸び悩んだ。

デジタル販売の拡大や新規出店・改装を進め、2025年度は自社サイトやアプリを軸にした売上増を目指す戦略を掲げる。ドライブアップや当日配送などオムニチャネル施策を強化している。

出典:https://corporate.target.com/

Walmart Inc.(ウォルマート)

1962年にディスカウントストアとして創業し、アーカンソー州ベントンビルに本社を置く世界最大の小売企業。食品を中心にホームセンターや家電コーナーを併設した大型店を展開し、家電量販部門も抱える。ニューヨーク証券取引所に上場する(銘柄WMT)。

2025年1月末時点で世界に約1万750店舗を構え、従業員は約210万人に上る。米国ではハワイ州を除く全州に店舗を持つほか、会員制倉庫型店サムズクラブも運営する。

2024年度(2025年1月期)の総収益は約6,810億ドルで前年比5.1%増、EC事業は全社売上の一定割合を占めるまで成長した。広告や会員事業など収益源の多様化も進む。

アマゾンに次ぐ米国第二位のEC事業者でもあり、店舗在庫の確認や即日持ち帰りに対応する家電販売を強みとする。物流網とデジタルを組み合わせたオムニチャネルを推進している。

出典:https://corporate.walmart.com/

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Amazon.com, Inc. (アマゾン)

1994年に創業し、ワシントン州シアトルに本社を置く世界最大級のオンライン小売・IT企業。ナスダックに上場する(銘柄AMZN)。米国のEC市場で最大のシェアを持ち、家電やパソコン、生活家電をオンライン販売の主力カテゴリーの一つとする。

2024年12月期の純売上高は約6,380億ドルで前年比11%増、うち北米部門が約3,875億ドルを占めた。クラウドのAWSや広告事業も高収益源となっている。

自社デバイスのEchoやFire、Kindleを展開するほか、ホールフーズやAmazon Freshといった実店舗も抱える。マーケットプレイスを通じて多数の家電ブランドが出品する。

迅速な配送網と会員制サービスAmazonプライムを武器に、家電量販分野でも実店舗系の小売と激しく競合する。米国の家電販売のオンライン化を牽引する存在である。

出典:https://www.aboutamazon.com/

Costco Wholesale Corporation (コストコ)

1983年に創業した会員制倉庫型店を運営する小売大手。ワシントン州イサクアに本社を置き、ナスダックに上場する(銘柄COST)。会員制のもとで幅広い商品を低価格・大容量で提供し、テレビやパソコン、生活家電も主要な販売カテゴリーとする。

2024年9月期の純売上高は約2,496億ドル、会員費収入を含む総収入は約2,545億ドルだった。世界の倉庫店は約890店で、うち米国が最多を占める。

2025年8月期も増収が続き、倉庫店数は900店規模へ拡大した。年会費を軸とした高いリピート率と、絞り込んだ品ぞろえによる回転効率の高さを強みとする。

家電分野では大手メーカーの主力機種を特価で扱い、延長保証や設置サービスも提供する。オンライン販売の拡充と併せ、量販店やECと競合しながら存在感を高めている。

出典:https://www.costco.com/

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アメリカの主要家電量販店企業1選〜日系編〜

Fujisan-Us.Com(フジサンドットコム)

1998年10月に開設された、在米日本人向けの日本商品オンラインストア。日本の書籍や医薬品、化粧品などを日本の定価に近い価格で提供してきた。2011年からはカリフォルニア州のNippon Shoseki Hanbai, Inc.が運営を担う。

在米日本人にとって、日本の電化製品を購入できる数少ない窓口の一つとされる。米国の電圧(120V)に対応した製品や変圧器の取り扱いなど、駐在員や在住者のニーズに沿った品ぞろえを特徴とする。

近年は楽天やAmazon Japanなど日本の大手ECが家電の海外発送に対応する例も増えたが、米国の電圧仕様に合わせた日本製家電を扱う店舗は依然として限られる。

2025年時点でも、日本製品を求める在米ユーザーに向けた専門的なオンライン小売として一定の役割を担っている。日本からの輸入品への関税強化の動きは、価格や供給面での不確実性要因となっている。

出典:https://www.fujisan-us.com/

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アメリカの主要家電量販店企業2選〜外資編〜

Samsung Experience Store(サムスン エクスペリエンス ストア)

韓国サムスン電子の米国法人が運営する直営小売店。同社のスマートフォンやタブレット、ノートパソコン、オーディオ、ウェアラブルなどを販売し、修理やソフトウェア支援、デバイス講習といったサービスも提供する。親会社は韓国取引所に上場する(銘柄005930)。

2016年2月にニューヨーク本社内へ体験型旗艦店『Samsung 837』を開設したが、同店は2024年12月に営業を終えている。

2019年2月にニューヨーク、ロサンゼルス、ヒューストンで初の直営店を開き、2025年3月時点ではテキサス州フリスコ、ニューヨーク州ガーデンシティ、テキサス州ヒューストン、カリフォルニア州グレンデールの4店舗を運営する。

さらにベストバイ店内にも『Samsung Experience Shop』を設け、専門研修を受けた店員が顧客対応を行う。直営とパートナー店を組み合わせ、製品体験を軸にした販売網を築いている。

出典:https://www.samsung.com/us/samsung-experience-store/

Miele & Cie. KG(ミーレ)

1899年にドイツで創業した高級家電メーカー。洗濯機や食器洗い機、ビルトインキッチン機器などを手掛け、家族経営を続ける非上場企業である。世界約47か国に拠点を持ち、米国へは1983年に進出、本部をニュージャージー州プリンストンに置く。

2024年のグループ売上高は約50億ユーロで前年比1.7%増、従業員数は約2万3500人に増えた。厳しい市場環境下でも増収を確保している。

北米では高級ブランドとして位置づけられ、量販店では扱わず、体験施設『Miele Experience Center』を約10か所運営する。店頭に在庫は置かず、体験後に店員と相談しながらWeb店舗で購入する形式をとる。

施設では新製品のデモンストレーションや料理教室も開かれる。2025年には世界初のリブレスドラムを備えた洗濯機の投入を予定するなど、高付加価値路線を鮮明にしている。

出典:https://www.mieleusa.com/

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吉岡 直人 US-Based Industry Analyst
ワシントン在住の日本人。日本では外資系メーカーにて営業およびマーケティングを経験し、現在は米国でスタートアップ向けにマーケティングおよびマーケティングリサーチを提供している。
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