台湾の陸運業界は、日本企業にとって重要なビジネスチャンスを提供しています。本記事では、台湾市場で活躍するローカル企業9社、日系企業3社、外資系企業3社の計15社を徹底分析。最新の市場動向や各社の強み、日本企業との協業可能性について詳しく解説します。台湾進出を検討する企業必見の情報です。
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台湾の主要物流会社9選〜ローカル編〜
全台物流(TDC)
全台物流股份有限公司(Taiwan Distribution Center, TDC)は、1989年に設立され、新北市林口区に本社を構える。ファミリーマート(全家便利商店)の関連会社として、台湾国内における物流サービスのリーダー的存在である。2025年3月現在、資本金は3億6,000万台湾ドル、従業員数は約730人に達している。
全台物流は「法治を基盤とし、革新を先導、誠実を重視、サービスを最優先」とする経営理念を掲げ、継続的な自己革新を追求している。2010年には、食品安全管理においてHACCPおよびISO22000:2005の二重認証を業界に先駆けて取得し、2016年には食品安全自主管理センターを設置した。
全台物流は、台湾全土に7つの物流センターを展開しており、林口、大溪、八德、台中(烏日)、雲林(虎尾)、高雄(岡山)、花蓮(吉安)に拠点を構えている。 これらのセンターでは、常温、恆温、冷蔵、冷凍の全温度帯に対応した物流技術を提供し、商品履歴管理システムや車両運行管理システム、台湾職業安全衛生管理システム(TOSHMS)などを導入して、リアルタイムな管理情報を顧客に提供している。
当初はファミリーマートの物流支援を主軸としていたが、現在では吉野家、大戸屋、乾杯、沃克牛排、勝博殿、杏子豬排、段純貞、花月嵐、王将など、30以上の外食チェーンとも提携し、原材料の調達から倉庫管理までの一貫した物流サービスを提供している。
全台物流は、2023年の『天下雜誌』による2000大企業調査で、倉庫業界で第1位、サービス業全体でトップ50にランクインするなど、高い評価を受けている。 今後も「活力と革新、信頼性」をブランド価値として掲げ、流通産業における物流ソリューションの最適なパートナーを目指している。
出典:https://www.tdccorp.com.tw
中菲行國際物流(ディメルコ)
中菲行國際物流股份有限公司(Dimerco Express Group)は、1971年に設立され、台北市に本社を構える国際総合物流企業である。もともとは「中菲行航空貨運承攬股份有限公司」として航空貨物輸送を主軸に事業を展開していたが、2012年6月に社名を現在のものに変更し、グローバル市場に対応した総合物流サービス企業としての転換を図った。
創業当初の業務は、欧米やアジアを中心とした輸出入航空貨物の契約業務、税関申告、倉庫管理などで構成されていた。2013年には、業務改善の一環として海運部門を強化し、中国本土、東南アジア、ヨーロッパなどでのM&Aや戦略的提携を通じた事業拡大を進めた。2025年3月現在、同社は世界17カ国に164の直営拠点を展開しており、200以上の戦略的パートナーと連携している。
サービス面では、航空、海上、陸上輸送のほか、多式連携輸送(空海、海空)、通関業務、保税・非保税倉庫管理、そしてサプライチェーン全体の統合的なソリューション提供に至るまで、幅広い物流ニーズに対応している。特にアジア地域では、電子機器、半導体、医療機器などの高付加価値製品向けの物流に強みを持つ。
同社の財務状況も堅調であり、2025年3月の単月売上高は25億5,500万台湾ドルで、前年同月比30.6%増、前月比でも19.5%の成長を見せた。また、2025年1月から3月までの累計売上高は69億9,200万台湾ドルと、前年同期比28.3%増となっている。この成長の背景には、アジア圏における部品や原材料輸送需要の増加、米中貿易摩擦に伴う出荷前倒し、サプライチェーンの東南アジア移転などがある。
市場環境の変化に対応するため、中菲行はアジア太平洋地域における拠点の強化を進めており、台湾、中国、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシア、インド、オーストラリアなどに150以上の拠点を構築している。さらに、クラウドベースの物流プラットフォーム「Dimerco Value Plus System®」を活用し、リアルタイムな情報提供と運用効率の向上を実現している。
今後の展望としては、米国の製造業回帰や「中国+1」戦略に伴い、東南アジアやインドへの企業進出が加速することが見込まれており、同社はこれらの地域での物流体制強化を重点施策としている。施振昇執行長は、変動の激しい国際情勢の中で「柔軟かつ迅速な対応力」が企業成長の鍵であると述べており、中菲行は今後もデジタル技術と地域特化型の戦略を通じて、グローバル市場における競争力を高めていく方針である。
出典:http://www.dimerco.com/
新竹物流(HCTロジスティクス)
新竹物流股份有限公司(HCT Logistics Co., Ltd.)は、1938年に設立され、台北市士林区に本社を構える台湾の大手総合物流企業である。創業以来、伝統的な運送業から現代的なサービス業へと進化を遂げ、物流(ロジスティクス)、商流(ビジネスフロー)、金流(キャッシュフロー)、情報流(インフォメーションフロー)を統合した包括的な物流ソリューションを提供している。
2025年3月時点で、同社の資本金は24.9億台湾ドル、従業員数は約4,559人に達している。また、3,500台の車両を保有し、全国に50の営業所、9つのハブセンター、12の配送センターを展開し、倉庫面積は約43,000坪(約142,000平方メートル)に及ぶ。
近年では、ICT技術や自動貨物分別機、携帯型PDT(携帯データ端末)を活用した全工程の貨物管理を導入し、物流の透明性と効率性を向上させている。また、eコマースの成長に対応するため、小型物品の配送やバイク配送、冷凍冷蔵車両の導入を進め、全温度帯に対応した配送サービスを提供している。
医薬品物流においても、TFDA(台湾食品薬物管理署)のPIC/S GDP認証を取得し、医薬品の倉庫保管から加工、配送までの一貫したサービスを提供している。さらに、2016年には阿里巴巴集団の菜鳥物流と提携し、越境EC物流の強化を図っている。
財務面では、2023年の売上高は約241.9億台湾ドルで、前年比2.91%の増加を記録した。2025年2月の単月売上高は19.93億台湾ドルで、前年同月比17.62%の増加となっている。
出典:https://www.hct.com.tw
來來物流(ライライロジスティクス)
來來物流股份有限公司(LaiLai Logistics Co., Ltd.)は、2005年に設立された台湾の総合物流企業であり、豊群企業集団の一員である。同社は、主に来来超商(OKmart)への物流支援を中心に、倉庫管理、流通加工、配送、情報処理、在庫管理など、包括的な物流サービスを提供している。twincn.comclvsc.tyc.edu.tw
本社は台北市信義区に位置し、主要な物流拠点として桃園市大渓区と台中市南屯区に倉庫を構えている。2025年4月現在、資本金は1億台湾ドル、従業員数は約290人で、うち約140人が正社員、約150人が派遣社員である。
同社は、情報技術と自動化を組み合わせた高効率な物流技術と革新的なオペレーションを導入し、物流配送の効率を向上させている。また、2018年5月にはISO 9001:2015品質管理システムの認証を取得し、サービス品質の向上に努めている。
出典:http://www.lailaidc.com.tw
長榮國際儲運(エバーグリーンインターナショナルストレイジアンドトランスポットコーポレーション)
長榮國際儲運股份有限公司(Evergreen International Storage and Transport Corporation、証券コード:2607)は、1973年9月1日に「長隆運輸股份有限公司」として設立され、台湾を代表する海運グループ・長榮集団の一員として発展してきた。創業当初は航運業界とコンテナ貨物輸送を中心とした事業展開を行っていたが、2001年に長榮貨櫃股份有限公司と合併し、現在の社名に変更。さらに2002年には立榮海運股份有限公司、2003年には長航通運股份有限公司とも合併し、陸・海・空を統合した総合物流体制を確立した。
本社は桃園市桃園区経国路に構え、汐止、桃園、台中、高雄などに貨櫃集散場や倉庫を配置。主要な工業エリアや高速道路インターチェンジ付近に立地しており、効率的な物流網を構築している。事業領域は多岐にわたり、内陸コンテナ輸送、貨櫃集散場の運営、港湾荷役作業、国際貨物運送代理、船舶・コンテナのレンタル、さらには長榮バスとしての遊覧バス・交通車運行業務や、自社運営のガソリンスタンド事業まで展開している。
財務面では、2025年3月の単月売上高は14.87億台湾ドルで前月比6.2%増、前年同月比9.99%減となったが、2025年1月から3月までの累計売上高は46.11億台湾ドルで、前年同期比2.83%増加している。2025年3月には財務体質の改善と資本効率の向上を目的に50%の現金減資を実施し、約53.36億台湾ドルを株主に返還。これにより発行済株式数が大幅に減少し、今後のEPS(1株あたり利益)の増加が期待されている。
また、近年では桃園大園地区に約7.5万坪(約25万平方メートル)規模の物流園区を開発し、2022年9月より稼働を開始。この施設は、台湾政府が推進する「桃園航空城計画」と連携した戦略的拠点として設計されており、倉庫、コンテナ集散場、内陸輸送の拠点機能を担っている。
長年にわたり展開していた長榮バスの国道客運事業は、業界再編や経営戦略の見直しにより、2024年3月1日をもって終了。今後は遊覧車や交通車などの特定用途輸送に集中する方針を取っている。
出典:https://www.evergreen-eitc.com.tw/eitchtdocs/jsp/index.jsp
台塑汽車貨運(フォルモサプラスチックストランスポートコーポレーション)
台塑汽車貨運股份有限公司(Taiwan Plastics Transport Corporation)は、1964年に台湾塑膠工業股份有限公司(台塑、Formosa Plastics Corporation)の輸送部門として設立され、1965年には台塑、南亞塑膠工業股份有限公司(南亞)、台湾化学繊維股份有限公司(台化)の三大企業の共同出資により、高雄市に法人化された。設立当初は12トン級トラック10台を保有し、主にグループ内外の製品輸送を担っていた。
1998年には、六軽工業区(雲林県麦寮)に6.3ヘクタールの駐車場と車両整備施設を設置し、石油化学製品の輸送体制を強化した。現在では、ガソリン、ディーゼル、液化石油ガス(LPG)、PVC、HDPE、DOP、EG、MA、PA、TDI、低温ガスなど、多岐にわたる製品の輸送を手掛けている。
2025年4月時点で、同社の資本金は約19.7億台湾ドルであり、車両保有台数は1,500台を超え、台湾国内で11番目に大きい輸送・保管企業となっている。本社は高雄市仁武区鳳仁路に位置し、主要な工業地帯や高速道路のインターチェンジに近接しており、効率的な物流ネットワークを構築している。
同社は、南亞塑膠工業股份有限公司、台湾塑膠工業股份有限公司、台湾化学繊維股份有限公司などの関係企業と緊密に連携し、グループ全体の物流効率の向上に寄与している。また、ICT技術や自動化設備の導入により、物流の透明性と効率性を高めている。
出典:http://www2.fpg.com.tw/html/com/fptc/fptc.htm
捷盛運輸(プリック)
捷盛運輸股份有限公司(President Logistics International Corporation、略称:PLI)は、2000年に設立された台湾の総合物流企業であり、統一企業グループの流通次集団に属する。本社は桃園市中壢区北園路37号に位置し、資本金は1億5,000万台湾ドル、従業員数は約160人である。
同社は、統一超商(7-ELEVEN)の子会社である捷盟行銷股份有限公司、統昶行銷股份有限公司、大智通文化行銷股份有限公司、伸鴻股份有限公司の共同出資により設立され、統一グループの物流機能を担っている。
主要なサービスとして、7-ELEVEN、スターバックス、康是美(COSMED)、無印良品、統一速達(宅急便)、和泰汽車、統一麵包などの店舗への商品配送を行っている。
経営理念として、「サービス品質第一」「安全運転」「規律第一」の三大方針を掲げ、運輸業の良性経営とサービス品質の向上を目指している。
福利制度も充実しており、年節賞与、社員誕生日祝い金、結婚・出産・子女教育補助、社員教育訓練、社員福祉信託、子女奨学金などが提供されている。
出典:http://www.plic.com.tw/plic/
統昶行銷(UPCC)
統昶行銷股份有限公司(President Chain Store Logistics Co., Ltd.)は、1994年に設立された統一企業グループ傘下の低温物流専門企業である。「品質第一、ニーズ対応、無駄革新、共存共栄」という経営理念のもと、台湾全土に15の高度な物流センターを展開し、約1,500人の従業員を擁している。
同社は、冷凍、冷蔵、生鮮食品温度、空調温度、氷点下温度の5つの温度帯に対応した物流サービスを提供しており、輸入申告、倉庫管理、カスタマイズされた仕分け、運輸配送、流通加工、ITシステム設計、低温物流センターの建設計画など、幅広い専門的なロジスティクスサービスを展開している。
統昶行銷は、統一グループの主要ブランドである7-ELEVEN、スターバックス、康是美(COSMED)、無印良品、統一速達(宅急便)などの物流業務を担っており、グループ全体の物流効率の向上に寄与している。
出典:https://www.upcc.com.tw
台灣宅配通(ペリカン)
台灣宅配通股份有限公司(Taiwan Pelican Express Co., Ltd.)は、2000年7月28日に設立された台湾初の戸別宅配サービス企業であり、東元電機グループの一員である。設立当初から日本の大手物流企業である日本通運との技術提携を行い、日本の宅配サービスのノウハウと経営経験を導入している。
本社は台北市南港区三重路19-9号2階(南港ソフトウェアパーク内)に位置し、資本金は約9億5,000万台湾ドル、従業員数は約2,000人である。全国に59の営業所、4つの転送センター、19の物流センターを展開し、全家(ファミリーマート)、萊爾富(Hi-Life)、家樂福(カルフール)、義美、台湾中油など、約11,100の代収店舗と提携している。
同社は、個人対個人(C2C)、企業対個人(B2C)、逆物流(C2B)など、多様な宅配サービスを提供しており、冷蔵(+4℃~+8℃)や冷凍(-18℃)などの低温配送にも対応している。また、当日宅配サービスや空港手荷物宅配サービス(松山空港、桃園空港)など、顧客の多様なニーズに応えるサービスを展開している。
情報技術の活用にも積極的で、Super MISと呼ばれる電子情報システムを導入し、貨物のオンライン追跡、電子署名、GPSによる車両位置情報の提供など、効率的な物流管理を実現している。さらに、代金引換や到着時のクレジットカード決済などの金流サービスも提供している。
出典:http://www.e-can.com.tw/
台湾の主要物流会社3選〜日系編〜
統一速達股份有限公司(クロネコヤマト)
統一速達股份有限公司(President Transnet Corp.)は、台湾の大手食品・流通企業である統一企業グループと日本のヤマト運輸株式会社の技術提携により、2000年10月6日に設立された宅配サービス企業である。「黑貓宅急便(クロネコ宅急便)」のブランド名で知られ、台湾全土に広がる配送ネットワークを構築している。
設立当初は、桃園以北の地域でサービスを開始し、初日の取り扱い荷物はわずか54個だったが、2005年には年間取扱個数が5,000万個を超えるまでに成長した。現在では、澎湖、小琉球、小金門などの離島も含め、台湾全域でサービスを提供している。
同社は、ヤマト運輸のノウハウを活用し、冷蔵・冷凍配送、代金引換、時間指定配達など、多様なサービスを展開している。また、セールスドライバー(SD)による丁寧な接客や、清潔感のある制服など、サービス業としての質の高さも特徴である。
2004年には、ヤマト運輸が統一速達の株式10%を取得し、両社の提携関係がより強固なものとなった。この出資により、技術協力やサービスの質の向上がさらに進められている。
2023年には、三菱ふそうトラック・バス株式会社の電動小型トラック「eCanter」を台湾で初めて導入し、台北市内での配送業務において走行実証を行った。これにより、環境負荷の低減と持続可能な物流体制の構築を目指している。
統一速達は、統一企業グループの一員として、7-ELEVEN、スターバックス、康是美(COSMED)などの店舗への商品配送も担っており、グループ全体の物流効率の向上に寄与している。今後も、デジタル技術の活用とサービスの多様化を進め、台湾国内外の物流ニーズに対応する体制を強化していく方針である。
出典:https://www.t-cat.com.tw
台湾日通国際物流股份有限公司(ニッポンエクスプレスタイワン)
臺灣日通國際物流股份有限公司(Nippon Express (Taiwan) Co., Ltd.)は、1988年7月8日に設立された日本通運グループ(NXグループ)の台湾現地法人であり、台北市中山区松江路223號10樓に本社を構えている。資本金は1億5,000万台湾ドル、従業員数は約583名である。
同社は、航空貨物・海上貨物のフォワーディング、倉庫業務、通関、国内外の引越し、自動車輸送、重量物・危険品などの特殊輸送など、幅広い物流サービスを提供している。台湾全土に18の拠点を展開し、桃園、新竹、台南に倉庫を設置している。
2024年2月には、台北本社を新事務所に移転し、フリーアドレス制の導入やペーパーレス化を推進するなど、働きやすい環境づくりにも注力している。
また、同社はISO9001品質管理認証やAEO(Authorized Economic Operator)認証を取得しており、信頼性の高い物流サービスを提供している。
今後も、NXグループの一員として、台湾国内外の物流ニーズに対応する体制を強化し、顧客満足の向上を目指していく方針である。
出典:http://www.nipponexpress.com.tw/index_jp.html
新瑞佐川急便股份有限公司(サガワ)
新瑞佐川急便股份有限公司(HCT Sagawa Express Co., Ltd.)は、2005年9月14日に設立された台湾の国際物流企業である。本社は台北市士林区中山北路六段90号4階に位置し、資本金は5,000万台湾ドル、従業員数は約20名である。同社はSGホールディングスグループ(佐川急便の親会社)と新竹物流股份有限公司の合弁会社であり、SGホールディングスグループが60%、新竹物流が40%の株式を保有している。
新瑞佐川急便は、台湾と日本間の国際エクスプレス事業、越境EC物流、フォワーディング、倉庫業務、通関、国際引越しなど、多岐にわたる物流サービスを提供している。特に、台湾発日本向けの荷物は最短中1日で届けられ、日本発台湾向けの荷物は台北松山空港到着日と同日に届けられるなど、迅速な配送が特長である。
また、0.5kg刻みの料金体系を採用しており、小荷物や書類の配送にも利用しやすい。Eコマース関連では、輸出入通関とeコマース貨物の輸送を統括し、スムーズな配送を実現している。
さらに、SGホールディングスグループのネットワークを活用し、台湾内の倉庫・物流センターでの保管・物流加工、店舗や消費者への配送まで、国際一貫輸送を提供している。
出典:https://www.sagawa-twn.com
台湾の主要物流会社3選〜外資系編〜
嘉里大榮物流Kerry(ケリー)
嘉里大榮物流股份有限公司(Kerry TJ Logistics Company Limited)は、1954年に台中市で設立された台湾の大手物流企業である。旧称は大榮汽車貨運股份有限公司で、1990年12月20日に台湾証券取引所に上場した。
2008年、香港を拠点とする嘉里物流聯網有限公司(Kerry Logistics Network Limited、KLN)が資本参加し、2011年に現在の社名に変更された。KLNは2021年に中国の物流大手・順豊控股(SF Holding)により51.8%の株式が取得され、同社の傘下に入っている。
本社は台北市中正区新生南路一段50号14階に所在し、従業員数は約4,500名、保有車両は3,500台以上にのぼる。営業拠点は台湾全土および澎湖、金門などの離島にも展開しており、台湾国内の主要な路線運輸サービス業者の一つである。
事業内容は、B2BおよびB2Cの貨物配送、常温・低温倉庫、冷蔵・冷凍配送、医薬品物流、ファッション物流、越境EC物流など多岐にわたる。2023年の売上構成比は、貨物運輸が約84%、物流倉庫が約16%となっている。
医薬品物流分野では、2011年に信速醫藥物流(旧・宗舜交通公司)を買収し、専用車両や専門人材による高品質なサービスを提供している。
環境への取り組みとして、2022年には電動三輪車「金卡多」を導入し、都市部での低炭素配送を実現している。
今後も、親会社である順豊控股や嘉里物流聯網の国際ネットワークを活用し、台湾国内外の物流ニーズに対応する体制を強化していく方針である。
出典: https://www.kerrytj.com/zh/
DHL(ディーエイチエル)
DHL(ディーエイチエル)は、ドイツ・ボンに本社を構える世界最大級の国際輸送・物流企業であり、ドイツポストDHLグループの一員である。1969年にアメリカ・カリフォルニア州で創業し、世界で初めて国際宅配便サービスを提供したパイオニアとして知られる。現在では、220以上の国と地域にサービスを展開し、航空貨物、陸上輸送、倉庫管理、サプライチェーンマネジメントなど多岐にわたる物流ソリューションを提供している。
2025年3月現在、DHLは持続可能な物流の実現に向けた取り組みを強化している。2025年4月からは、日本国内で生産された年間720万リットルの持続可能な航空燃料(SAF)を調達し、定期航空フライトへの利用を開始する予定である。これは、国際エクスプレス業界でアジア初となる取り組みであり、温室効果ガス排出量の削減に寄与するものと期待されている。
また、2025年3月には、アメリカの医薬品物流企業Cryopdpの買収を発表した。Cryopdpは、製薬・バイオテクノロジー企業向けの輸送、保管、包装サービスを提供しており、この買収により、DHLのライフサイエンスおよびヘルスケア分野でのサプライチェーンサービスが強化される見込みである。
さらに、DHLは2025年のFIAフォーミュラワン世界選手権のオフィシャルロジスティクスパートナーとして、持続可能な輸送ソリューションの提供を通じて、同大会の運営を支援している。具体的には、持続可能な航空燃料(SAF)の活用や、バイオ燃料を使用したトラックの導入など、環境負荷の低減に取り組んでいる。
出典: https://www.dhl.com/tw-zh/home.html
FedEx(フェデックス)
フェデックス・コーポレーション(FedEx Corporation)は、1971年にアメリカ合衆国アーカンソー州リトルロックで、元アメリカ海兵隊大尉のフレッド・スミスによって設立された。当初はフェデラル・エクスプレス(Federal Express)として知られていたが、現在はFedExとして世界的に展開している。本社はテネシー州メンフィスに位置し、世界220以上の国と地域でサービスを提供している。
FedExは、航空貨物、地上輸送、倉庫管理、サプライチェーンマネジメントなど、多岐にわたる物流サービスを提供している。特に、時間指定の国際配送や重量貨物の輸送に強みを持ち、企業や個人の多様なニーズに対応している。
台湾においては、1990年より業務を開始し、台北市中山区に本部を構えている。現在、台湾国内で409台の車両とバイクを保有し、桃園国際空港にも主要なサービス拠点を設置している。これにより、台湾全土への迅速かつ効率的な配送ネットワークを構築している。
出典: https://www.fedex.com/zh-tw/home.html
台北在住の台湾人。日本の東北大学で修士号取得後、7年以上IT企業でマーケティングを担当。デジタルマーケティングと市場分析の専門家として、製品の市場導入とブランド戦略を得意とする。