【統計データで解説!】韓国の医療・介護業界の最新トレンド・業界事情

韓国の医療・介護業界は、AIやデジタルヘルス技術の導入により革新が加速しています。特に、病院のデジタル化や医療機器、バイオテクノロジーの発展が、治療とケアの効率を大幅に向上させています。これらの進展が業界にもたらす影響と、未来の医療サービスの姿とは一体どのようなものなのでしょうか――。

この記事では、統計データを用いて韓国の医療の最新情報をお届けしていきます!

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目次

韓国の病院業界〜統計データ〜

韓国の医療機関数(首都圏と非首都圏)

医療機関数は2020年時点で300床以上が169カ所、 300床未満が1,707カ所 、診療所が33,115カ所となり、過去10年間、着実に増加していることが分かった。

医療機関数を人口100万人あたりに換算すると、2020年時点で300床以上の病院が3.3施設、300床未満が32.9施設、診療所が638.9施設で、 2011年以降、年平均の増加率は0.4%、0.9%、1.7%であり、300床以上より300病床未満が、病院より、診療所が年平均の増加率が多かった。

病院の建設には通常莫大な資金注入が必要だが、比較的診療所の設立は容易だ。その上、韓国では、事実上、医療機関の開設に関連する規制がなく、設立が容易な中小規模の病院・診療所を中心に持続的な増加傾向にある。

地域別人口 100万人 当たりの医療機関数は 2020年時点で 病床数300床以上の病院は、首都圏では3.0施設、非首都圏で3.6施設、300床未満の病院は大都市圏で25.0施設、非大都市圏では40.9施設、診療所は大都市圏では681.0施設、非大都市圏では数は596.5施設で、病院は非首都圏が多かったが、診療所は首都圏が多く、診療所の場合地域別格差が次第に大きくなっている状況だ。

出典 : 統計庁

韓国の医師数(首都圏と非首都圏)

一般病院、診療所で働いている医師数を調査したところ、2020年時点で首都圏は5万5065人、非首都圏は4万3618で、首都圏の比率が55.8%だった。

参考に、1983年、医師の44.2%が首都圏に偏在しているとの報道がなされたが、その水準を大きく上回ったということが分かった。

医療機関類型別は首都圏、非首都圏どちらも300病床未満がもっとも多い比率であることが分かった。医師人口を10万人あたりで換算すると、首都圏が2011年に170.8人、2020年は211.5人で、年平均2,4%増加し、非首都圏は2011年は142.7人、2020年は169.1人で年平均1.9%増加し、首都圏と非首都圏間の格差が徐々に大きくなっている状況だ。

また、医療機関類型別で比較すると、2020年時点では人口10万人あたりの医師数が首都圏では300病床以上89.1名、300名病床未満が27.6人、診療所94.7人、非首都圏は300病床以上56.7人、300病床未満37.0人、診療所は75.4名であった。

出典:統計庁

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韓国の医療機器業界〜統計データ〜

医療機器の市場規模

2022年医療機器の生産実績は15兆7,374億ウォンで、2021年比22.2%増加し、国産医療機器のシェアは過去最高の46.8%で、国内医療機器の生産が過去最高の成長を記録している。

韓国の医療機器市場規模は11兆8,782億ウォンで、「21年比30.0%増」と過去最高の成長率を記録した(市場規模 は (生産金額 + 輸入金額) – 輸出金額を指す)。

新型コロナウイルス感染症の自己検査キット(感染剤診断免疫検査試薬)は、国内初の許可(‘21.4.23.)された後、2022年初めにオミクロン変異拡散による需要増加で国内生産量が2021年2,744億ウォンから2022年1,415億ウォンに400%以上増加した。

また、歯科用インプラントは2022年の生産実績が2021年比22.1%増加(1兆9,966億ウォン->2兆4,379億ウォン)している。

また、人口高齢化と健康保険拡大適用などが影響で着実に生産実績上位を占めており、デジタル医療機器の生産および需要の2021年比18%増加(8,622億ウォン->1兆167億ウォン)している。

さらに現在食品医薬品安全処で国産デジタル医療機器の開発支援のための政策を準備中である。

出典:統計庁

デジタル治療機器の有用性に対する認識

一般国民1,500名と医療関係者250名を対象に調査を行った。その結果、一般国民におけるデジタルヘルス及びデジタル治療機器の認知度はそれぞれ29.1%、19.5%だった。

その反面、医療関係者の認知度は一般人口より3倍以上高かった(デジタルヘルス90.0%、デジタル治療機器79.2%)。

一般国民の場合は年齢が低いほど、医療関係者の場合は従事する医療機関が上級医療機関であるほど認知度が高い傾向にある。

一般国民の57.8%、医療関係者の72.0%がデジタル治療機器が今後自らの(患者の)疾患の治療·管理に役立つと回答した。

一般国民の場合、若年年齢群(30~40代)がデジタルヘルスリテラシーのレベルが高いか、新技術に対する態度が積極的な群でデジタル治療機器が役に立つという回答が高かった。

一般国民においては年齢層によってかなり違いがあることが分かった。

出典:健康保険審査評価院

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韓国の製薬・バイオテクノロジー業界事情〜統計データ〜

2022年バイオ産業 業種別企業数

本グラフは2022年のバイオ産業の業種別企業数を示している。国内で実施された、バイオテクノロジーとバイオ産業に関する調査データを基にしており、バイオ産業分類コード(KS J 1009)を使用する企業を抽出している。

2022年のバイオ産業全体の企業数は1,089社であり、業種別に見ると、バイオ医薬の企業数が326社で全体の33%を占める。次いで多くを占める業種はバイオ化学・エネルギー分野で201社が該当する。

この2分野でバイオ産業全体の5割以上を占めていることから、医薬・化学・エネルギー分野がバイオ産業をリードしていることが読み取れる。

また3番目に多かったのはバイオ食品業種で168社である。

その他の業種ではバイオ医療機器が121社、バイオサービスが111社、バイオ環境が56社、バイオ設備及び機器が55社、バイオ資源が15社の順となった。

出典:韓国統計庁KOSIS(産業通商資源部)

KOSDAQ 製薬業種の時価総額推移

本グラフは2023年10月から2024年3月の、KOSDAQ製薬指数に含まれた企業の時価総額の推移を示している。

対象期間を通じ時価総額は全体的に増加傾向であり、2023年10月には約39兆ウォンだったものが2024年3月時点では約57兆円と、約18兆ウォンの増加となった。

これは一部の企業で進行中の新薬開発が進展していることや、米国FDAによる新薬の許認可が近々おりるのではないかといった期待感により株価が上昇し、全体の時価総額の増加要因となったと見られる。

一方投資家の間では、株価が実力値以上に過剰に上がっているとの反応が多い。

これまでの同様のケースでは、米国FDAの新薬承認後に株価が下落した事例が多いことから、今後の株価の値動きには注意を払うべきだと指摘している。

出典:韓国統計庁KOSIS(韓国取引所)

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韓国の医療卸業界事情〜統計データ〜

年度別医療機器生産実績及び市場規模

2022年の医療機器生産額は15兆7,374億ウォンで、2021年比22.2%増加し、歴代最高に成長した。 輸出額(78.8億ドル)と輸入額(48.9億ドル)は2021年比で減少(8.7%、8.6%)したが、為替レートの上昇によりウォン建てでは微増(3.0%、3.1%)した。

2022年の国内医療機器の生産額と市場規模の増加の主な原因は、昨年のオミクロン変異拡散による国内コロナ検査キット生産増加と考えられる。

食品医薬品安全処は昨年、オミクロン変異拡散による新型コロナウイルス検査キットの需要増加に対応するため、生産増大、原材料供給支援などの流通改善措置を実施し、検査キットを大量に生産・供給した。

特に、新型コロナウイルス感染症の自己検査キットの生産額は、2021年の2,744億ウォンから2022年には
14,415億ウォンで400%以上増加し、また輸出額も2021年の422億ウォンから2022年には843億ウォンと100%増加した。

出典:食品医薬品安全処           

通信費用・データ使用料の推移

2023年の2分期外来処方市場が歴代最大規模を記録した。

COVID-19の大流行当時、感染者が爆発的に増加した時よりさらに高い成長を見せた。

3年間のパンデミックは終息したものの、依然としてCOVID19の感染者が発生しており、マスク着用義務解除等でインフルエンザや風邪の患者が増加していることが成長の背景にあると見られる。

昨年、第二四半期外来処方箋市場規模は4兆8,557億ウォンで、2022年の同時期比で、11.8%拡大した。第一四半期分期処方箋額が2022年比9.9%増加したのに続き、第二四半期にはさらに高い成長を見せた。上半期累積処方箋金額は9兆5,068億ウォンで、2022年の同時期より10.9%増加した。

第一四半期分あたりの処方実績が前年より10%以上増加するのは、2022年第一四半期分以降5半期ぶりだ。

2022年第一四半期処方規模は4兆2330億ウォンで前の年より10.9%拡大した。また、2021年第四四半期にも、2020年の同時期に比較して11.5%増加した。

出典:コリアメディックス

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韓国の介護業界事情〜統計データ〜

長期介護機関の利用者現況

1,953の長期介護機関対象に利用者現況について調査をおこなった。

全体応答機関の利用者は平均33.7人で、10~29人:36.7%、30~49人:23.8%、9人以下:18.6%、50~69人:10.6%、70~99人:7.0%、100人以上:3.3%の順だった。

訪問介護は37.2%、訪問沐浴は35.6%、夜間介護27.4%、短期介護は9.3%であった。また施設の規模として10-29名規模利用者が21.6%、30-49名規模が39.9%、50名以上が76.1%であった。

調査の結果から訪問介護をうけている人が一番多いことが分かった。

機関のある地域については大都市が33.3%、中小都市が33.1%、農漁村が35.2%であった。

出典:保険福祉部

長期介護利用者の分布

長期介護受給者の一般的な特性を見ると、調査当時、長期療養サービスを利用している利用者は全体の77.5%、未利用者は22.5%であり、男性と女性受給者の割合は3:7であった。

年齢層は85~89歳26.7%、80~84歳26.2%、90歳以上17.5%などで、80代以上の割合が70.4%を占めている。

居住下地域は大都市35.4%、中小都市32.7%、農漁村31.9%で、2019年に比べて農漁村居住受給者比率が減少したことが分かる。

長期療養認定等級を受けたにもかかわらず、長期療養サービスを利用しない受給者の男性の割合は33.2%、女性は66.8%と長期療養利用者より未利用者の男性の割合が高いということが分かった。

出典:長期介護利用者の分布

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