韓国の旅行・ホテル業界はポストコロナの回復期に入り、デジタル技術を活用した新サービスが続々登場しています。放送・新聞業界はデジタルシフトを加速させ、携帯電話・広告業界と連携した革新的なコンテンツ展開が注目されています。
この記事では、統計データを用いて韓国のエンタメ・IT・個人サービス業界の最新情報をお届けしていきます!
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韓国の旅行業界〜統計データ〜
訪韓外国人のカード支払いの内容
2019年、文化体育観光部&韓国文化観光研究によると年間外国人クレジットカード国内支出額現況(BCカード基準)は、2019年の年間外国人クレジットカード総支出額は11兆1百億ウォン(推定値)で前年比15.3%増加したことが分かった。
BCカードの2019年の年間外国人クレジットカードの国内支出額は約3兆9千億ウォンで、全体国内外国人クレジットカード支出額のうち36.3%程度のシェアを占めていためBCカードをもとに詳細分析を行った。
2019年基準の外国人分野別カード支出額のうち、ショッピングに使われた割合は83.1%で、大半をショッピングに支出していることが分かった。
二番目に多いのがレジャースポーツであったが9.8%と群を抜いてショッピングに消費しているということが見て取れる。
出典 : 韓国観光公社
国内旅行のついての情報収集の経路
韓国国内旅行をする際にどのように情報収集を調査した。一番多かったのは過去の訪問経験をもとにという意見で33.6%、二番目に多かったのが周囲の人からの口コミであった。
そして3番目に多いのがなんと情報なしで訪問という回答であった。情報化社会において情報を得ずに訪問するという回答は予想外のものであった。
情報なしで訪問という回答は2019年の回答14.3%と比べると2年で4.4%も増加したことになる。また次に多かったのがインターネットやアプリケーションを使用して情報収集をするという回答であり16.9%と2019年の11.2%から5.7%の伸びを見せた。
インターネットアプリケーションで情報収集するという回答は項目の中で一番で一番伸び率が高かった。
出典:文化体育観光部
韓国のホテル業界〜統計データ〜
国内のホテル、観光用宿泊施設数
k-popや韓国美容ブームにより世界的に外国人観光客の増加及び国内の旅行者の増加に伴い、国内ホテル及び、観光用宿泊施設(ホステル、ゲストハウス、民泊等)の施設数は右肩上がりである。
2019年から2020年にかけては、新型コロナウイルスの影響に伴い廃業した宿泊施設が急増したにもかかわらず、例年に比べると増加率は低いものの、4施設ではあるが増加した。
日本に比べるとホテルやペンションの1泊あたりの料金が安く、ホカンスが若者の間でも流行しており、若者向けにオンラインで簡単に予約し、割引やサービスまで受けられるモバイルアプリも増えている。
このような宿泊施設が観光中心地だけでなく、全国的に多くあるため、地域の活性化に貢献している。
出典:韓国統計庁
新規雇用者数及び退職者数
2017年以降、観光ホテルにおける新規雇用数は年々減少傾向にあった。
ホテルをはじめとするサービス業への就職を志望しない若者が近年増加しており、サービス業全体が雇用難と向き合っている状態にあり、国内でも問題となっている。
特に2020年には新型コロナウイルスの影響で、ホテルの営業中止や経営不振により、新規雇用者数は激減し、退職者数は激増している。
2021年も新型コロナウイルスの影響は続き、新規雇用者数は2017〜2019年に比べると減っているが、退職者数は最も少ない結果となった。
しかし今後も新型コロナウイルスによる解雇等の余波により、新規雇用が大きな課題となってくることが予想される。最近ではオンラインチェックイン等により人手不足の解消及び人件費削減対策を行う施設が増えてきている。
出典:韓国統計庁
韓国の放送・新聞業界事情〜統計データ〜
テレビ局の本放送縮小とOTTの成長
これまでテレビ局は24時間を基準に編成戦略を練ってきた。したがって、テレビ局がコンテンツを制作する際は、制作費と共にコンテンツの本数を考慮せざるを得なかった。
ストリーミングサービスは編成時間と制限されたコンテンツ数がなく、能力に合うコンテンツ需給だけがある。このような流れの中でテレビ局の本放送時間は次第に縮小されてきた。
OTTにプログラムを製作·提供する主要テレビ会社(チャンネル)の本放送比率は最近5年を基準に概して5%内外で、すべてのテレビ局の本放送比率が縮小されている。
また、テレビ広告が広告媒体として魅力が落ちている点、テレビ局の番組ということだけで守らなければならない審議と不特定多数の視聴者情緒に対する考慮などによって結局コンテンツ効率が落ち、OTTに目を向けることになるのだ。
出典:2022年放送産業実態報告書
新聞社に対する信頼度の下落
韓国で最も影響力があると考えるマスコミ上位10社に名を連ねた新聞社は朝鮮日報1社だけだった。最も信頼できるマスコミの調査でも同じだった。
韓国言論振興財団(理事長ピョ·ワンス)が30日公開した「2022言論収容者調査」の主要結果によれば、影響力のある言論社·メディア社上位10位圏をKBS(33.6%)、MBC(15.1%)、ネイバー(13.1%)、YTN(8.6%)、JTBC(5.5%)など放送会社とインターネットポータルが大部分を占めたが、新聞社としては朝鮮日報(2.2%、8位)が唯一含まれた。
最も信頼できるマスコミ·メディアの調査でもKBS(28.1%)、MBC(16.6%)、YTN(9.6%)、ネイバー(9.2%)、JTBC(6.9%)などに続き、朝鮮日報(2.1%、8位)が似たような結果を示した。
問題点としては偏向的な記事、虚偽/操作情報(偽ニュース)などが挙げられた。
出典:Media Users in KOREA 2022
韓国の携帯電話事業者〜統計データ〜
MVNO加入者数、1,400万人突破
科学技術通信部が2023年9月に発表した「無線通信サービス加入現況」によると、2023年7月末時点、韓国でのMVNO加入者数が1,400万人を突破。2019年12月から年間20%前後加入者数が増加しており、市場シェアも20%に迫る。
MVNOは、以前は最低限の通話機能を必要とする高齢者向けの通信サービスとの認識が強かったが、近年は若者の加入者数が増加している。
大手3社が5Gサービスの拡大に注力する一方、MVNO各社はLTEを含む格安な料金プランと、約定(契約期間の縛り)がないことを売りとし、加入者数の増加につながっている。
MVNOの加入者数が増加する一方、業界最大手のSKTの市場シェアはサービス開始以来初の40%割れを記録している。
出典:韓国科学技術情報通信部
通信費用・データ使用料の推移
韓国における一人当たりデータ使用量は、大容量コンテンツの増加、コロナ禍におけるデータ使用量の増加により、2013年の1.4GB/月から2021年には12.0GB/月と、約8.5倍に増加。
一方、通信費用は、料金割引率の上昇やMVNOの加入者数増加、大手3社の料金プランの多様化、脆弱階層対象(障碍者、基礎生活支援受給者等)通信費用減免の拡大等により、2013年の153千ウォン/月から2021には124千ウォン/月と、通信機器の高額化による影響はありつつも、合計金額は下落傾向となっている。
従って、データ1GBあたりの費用負担は約10年間で大幅に下落している。現在、MVNOの加入者数が継続して増加しており、この傾向は今後も継続すると考えられる。
出典:韓国旅行業協会
韓国の広告事情〜統計データ〜
2021年基準 広告産業市場規模
2021年現在、国内広告業界の規模は2020年比8.6%増の18兆9,219億ウォンであった。
各産業規模は、広告代理業が7兆7,684億ウォン(同6.2%増)、オンライン広告代理業が4兆8,388 億ウォン(同7.6%増 )、 広告サービス業は3兆861億ウォン(7.7%増)と大幅に増加し、広告業 6業種すべてが成長した。
広告業界規模をメディア別にみると、メディア広告費が13兆6,552億ウォン(72.2%)、非メディアサービス取扱額が 5兆2,667億ウォン(27.8 %)を占めた。
メディア広告費のうち、インターネットメディア(パソコン、モバイル) の取扱額は7兆2,349億ウォンで、2020年同月比9.7%増で全体の53% を占めた。
2020年には、インターネット利用の増加により唯一の成長(2019年比38.8%増)を記録し、過半数のシェア(2020年は52%)を確保し、2021年 も最大のシェアを占めることがわかった。
このうち、モバイル対応(36.6%)が2020年以降、パソコン(PC)対応(16.3%)を上回り、その差は広がっている。
出典:文化体育観光部
2021年基準 広告業界の労働力
広告業界の労働力は2019年の水準に回復し、新規採用者も増加し、オンラインに注力している。
2021年の従業員数は74,485人で、前年比8.1%増加した。 2019年の73,520人から2020年の68,888人まで6.3%減少したが、2021年には2019年の水準を超えて回復した。
業種別就業者数は、オンライン広告代理業が21,409 人(28.7%)、広告代理業が21,054人 (28.3%)と、業種別で最も多いことが分かった。
新規採用者の総数は9,684人で、2020年の4,195人から増加した。そのうち、オンライン広告代理店が3,152人、広告代理業が2,527人、広告専門サービス業 が2,387人となっており、 新規採用者数もオンライン分野で最多であった。
出典:文化体育観光部
ソウル在住の韓国人。日本での在住経験は25年。日本の有名大学を卒業し、大手シンクタンクの正社員及び経営コンサルタントとして勤務。多くのプロジェクトに携わり、ビジネス戦略とイノベーションの分野で活躍。