韓国の金融・法人サービス業界はデジタルトランスフォーメーションが加速し、銀行や証券、保険分野で新たなサービスが次々と展開されています。放送や法律・会計、人材サービス業界も連携を深め、包括的なソリューション提供に注力しています。
この記事では、統計データを用いて韓国の金融・法人サービス業界の最新情報をお届けしていきます!
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韓国の銀行業界〜統計データ〜
安定性が一番高い銀行はカカオバンク
優良銀行ランキングは金融、経営、消費者専門家で構成された評価委員会が安定性(40%)、消費者性(30%)、健全性(20%)、収益性(10%)など4大部門11項目に分類し、3,953人の金融消費者を対象に調査した結果を発表·公開した資料だ。
2021年資本金を増資したカカオバンクは安定性で1位、健全性で4位、収益性で6位を記録したが、消費者性で17位と評価された。
カカオバンクのBIS自己資本比率は35.65%で2位のNH農協銀行の18.31%と大きな格差を見せ、流動性比率も679.26%で2位のKバンク172.61%より約3.9倍高い数値だが、貸出審査遅延など貸出関連苦情増加で10万人当り苦情増減率が最も高かった。
BIS自己資本比率が最も高い銀行は35.65%のカカオバンクであり、2位のNH農協銀行(18.31%)と大きな格差を見せた。反面、最も低い銀行はSH水協銀行で13.84%の数値を示した。
流動性カバレッジ比率が最も高い銀行は679.26%のカカオバンクであり、2位のKバンク(172.61%)と大きな格差を見せ、最も低い銀行は新韓銀行(89.63%)だった。
出典 : 金融消費者連盟
高金利の影響による5大銀行の純利益の増加
高金利で5大市中銀行が第1四半期に4兆ウォン以上稼ぎ、2022年同期より純利益が19%ほど増加したことが分かった。
地方銀行、特殊銀行、インターネット銀行などが含まれた銀行圏全体では純利益が25%も増えた。
高金利で貸出利子収入が大きくなり、第1四半期に入っては市場金利が下落し保有している債券投資収益も増加したためだ。
貯蓄銀行、証券会社、カード会社、キャピタル会社、相互金融組合などの収益が相次いで減ったのとは対照的だ。
5日、金融監督院と銀行圏によると、2023年第1四半期の銀行の純利益は7兆ウォンで、2022年同期比25%の1兆4000億ウォン増えた。
KB国民·新韓·ハナ·ウリ·NH農協銀行など5大都市銀行は全体銀行圏の半分以上である4兆3653億ウォンの純利益を達成した。
2022年同期(3兆6698億ウォン)に比べて約19%増加した。
出典:金融監督院
韓国の証券会社業界〜統計データ〜
安定性が一番高い銀行はカカオバンク
ここ数年間、株式投資家が急速に増え、証券会社のモバイルトレーディングシステム(MTS)競争も激しくなっている。MZ世代など新規顧客層を獲得するための新規プラットフォームと既存証券会社のサービス競争が顧客の利用環境を改善できるものと見られる。
金融投資協会などによると、2021年の59の証券会社の電算運用費は6668億ウォンで、2020年5802億ウォンに比べて14.9%増加した。2021年に初めて証券業界の電算運用費が6000億ウォンを超えた。
特に、中大型証券会社の投資が目立った。20大証券会社の電算運用費は5363億ウォンで、2020年比17.4%増加した。
大物企業公開(IPO)が相次ぎ、電算運用費の投資が大きくなった。電算投資費用が概して増加した中で、証券業界の慢性的な問題点として指摘されるMTSなどの電算エラーも昨年大抵改善され、MTSエラー再発防止に努めている。
出典:金融投資協会
商品仲介手数料収益の低下
最近になって証券会社は仮想資産、ブロックチェーン基盤の彫刻投資などに関心を示している。
特にロシア-ウクライナ戦争の長期化、米国の基準金利引き上げなど対内外的な悪材料による証券市場が不安定になったことにより、証券会社は収益状況が悪化することに備え、積極的に他の収益源に関心を示している様子だ。
実際、COVID-19による個人投資家の増加と証券市場好況に支えられ、2020~2021年には証券会社が大きな手数料収益を上げたが、2022年第1四半期の国内10大証券会社の平均ROEは11.7%で2021年同期比6.9%p減少した。
証券会社各社はこれまで、株式関連商品の仲介による手数料収益に依存する構造から脱し、持続的にIB、不動産PF、WMなど収益多角化を模索してきた。 最近は仮想資産、彫刻投資などと関連した市場に関心を向けている。
さらに、証券型トークン(Security Token offering:STO)が金融規制サンドボックスを優先的に適用されるようになり、証券会社は仮想資産市場進出に拍車をかけている。
出典:金融監督院
韓国の保険業界事情〜統計データ〜
2024年 保険料の展望
保険料の展望の検討にあたっては、特に、①消費回復と負債返済による家計の超過貯蓄の減少、②2023年の保険営業競争が2024年に激化しないことを前提としている。これらの前提の元、以下のような予測がされている。
第一に、2024年の初回保険料全体は、22.0%減少すると予測される。また、2024年の初回保険料規模は9,9兆ウォンと予測される。
第二に、収入保険料全体は、2.6%増加すると予想される。また、2024年の収入保険料の規模は253,8兆ウォンの水準になる見込みである。
第三に、2024年の生命保険収入保険料は0.6%増加する予測である。また、貯蓄性保険は家計収支の悪化や株価指数の停滞による需要減少で-6.6%の成長見通しである。
第四に、2024年の損害保険原受保険料の成長率は鈍化詞、-4.4%と予測される。
出典:Kiri保険研究所
デジタル転換の動向と課題
保険産業はパンデミックを経て、デジタル転換水準が向上したが、事業モデル転換を通じた競争力強化につながるまではまだ多くの努力が必要であると考えられる。
加えて、デジタル保険会社は赤字状態であり、事業モデルの拡張についても限界に達している。
主な経営課題としては、①デジタル転換が経営成果及び市場拡大につながるような商品・サービスの開発、②インベディット保険やヘルスケアサービスの活性化など、パートナーシップや生態系のつながりを念頭においたデジタル保険商品やサービスの開発、③内部・外部データの結合により新たな付加価値創出の試みを拡大させる、④デジタル化による個人情報保護体制の強化、消費者疎外解消のための商品開発の促進などが挙げられている。
出典:Kiri/保険研究所
韓国の法律事務所〜統計データ〜
「村の弁護士」割当て状況
村弁護士制度とは、弁護士が不足し、法律サービスへのアクセスが容易でない司法過疎地域に居住する国民が、無料で法律相談サービスを受けることができる制度である。
相談は、インターネット、電話、ファックス当等を通じて行われるが、場合によっては村の弁護士が直接村を訪問し、対面でカウンセリングを行うこともある。
なお、日本における類似の制度に「法テラス」による地域事務所の設置などがあるが、「村の弁護士制度」は、司法過疎地域に事務所を設置するのではない点に注意が必要である。現時点での村弁護士の数は、1406人で、制度導入初年度から3.4倍に増加した。
また、村の弁護士が割当てられた地域も、全国1261カ所となり、初年度の250カ所より5倍増加した。
表は、韓国法務部(日本の法務省に当たる)が公表した、データに基づき作成した「村の弁護士割当て状況」である。タラ、釜山、世宗、蔚山、仁川、済州島はは「町の弁護士」が著しく少ない状況にある。
出典:法務部
2022年 ベストローファーム
2010年以来、韓慶ビジネスは毎年「韓国のベスト法律事務所&弁護士」調査を実施しており、2022年、韓慶ビジネスは韓国企業内弁護士協会と共同で「2022 Best Law Firms & Lawyers in Korea」を選出した。
法律事務所を選ぶとき、法律の知識がない消費者にとって、どのようなサービスがあるかは最初に考えるべき大事な点だ。
韓慶ビジネスは、法律事務所のサービスにつき、訴訟費用の合理性、担当弁護士の親しみやすさ、担当弁護士のプロ意識、担当弁護士の積極性と責任感、法律事務員の誠実さ、業務の迅速性の6点で評価した。
アンケートに回答した社内弁護士や法務チームの担当者は、各カテゴリーにおいて、最も評価する法律事務所を1位、2位、3位で選んだ。そして、その順位に応じて、1位の法律事務所には3ポイント、2位には2ポイント、3位には1ポイントが加算された。
法律事務所サービス分野で最高得点を獲得した第1位は「ユルチョン」だった。ユルチョンは6部門すべてで最高得点2000,14663点以上で1位となった。
出典:ハンギョンビジネス
韓国の会計事務所事情〜統計データ〜
資産評価と損傷認識の重要度
グローバル会計コンサルティング法人EYハニョン(代表パク·ヨングン)が会計透明性関連アンケート調査を行った結果、2023年末決算時に最も重視された領域(複数回答)は「資産評価および損傷認識」であり、77%の回答者がこの点を挙げた。
今回のアンケート調査は2023EY韓英会計透明性セミナーに参加した国内企業会計担当者(社外取締役、監査委員、会計および財務関連部署の役員と部署長)164人を対象に行われた。
回答者らは今年の年末決算と関連し、債務返済のための未来現金流出額が増加し、負債が増え、企業全体の資産損傷につながりかねないと懸念を示した。
その他に回答者は2023年末決算時に考慮する事案として「不正、横領摘発および予防関連監査手続き(45%)」、「ESG情報に対する事前準備(22%)」、「グローバル最低限税など法人税(12%)」を挙げた。
出典:EYハニョン
ジュニア会計士の年俸1億ウォン時代
会計業界の人手不足が日増しに深刻化している。
標準監査時間制導入で会計業務に対する需要が増大したうえに、一般企業、金融会社、スタートアップ、ベンチャーキャピタル(VC)、私募ファンド(PEF)まで会計士を競争的に採用し、5年目の「ジュニア」会計士の年俸が1億ウォンに迫るなど身代金が日々跳ね上がっている。
事業報告書に出ている2020会計年度の売上300億ウォン以上の中堅会計法人の平均年俸(給与+賞与/職員数)を見れば8000万ウォン低く見えるほどだ。
もちろん、経歴により年俸が千差万別で会計士と非会計士との差も大きいだろうが、わずか2年前の2018会計年度には平均年俸が7000万ウォン台であるところが多く、1億ウォンを越えるところは一ヶ所もなかったことが分かる。
生産性指標といえる1人当り売上額の場合、2億ウォン台に進入した会計法人が登場しなど1人当り売上額2億ウォン時代を開いた。
出典:金融監督院
韓国の人材サービス業界事情〜統計データ〜
就活生のAIベースの採用体制に対する認知度
ソウル内大学在学・銃額中の就活生を対象にした調査の結果、AI採用に関する情報はニュースやソーシャルメディアなどの媒体を通じて情報を得ていることが明らかとなった。
また、その他の情報取得経路は、就職専門コミュニティ、各企業の採用サイト、就職ポータルサイトの順番となっていた。
また、AIベースの採用に対し準備を始めていない理由として、最も多かったのは、「就職のための基本スペックと職務能力を養うことがより重要だと思う為」という理由であった。次いで、「既存の採用方式と根本的には変わらないと思う為」といった回答、「すぐに準備を始める」といった回答が上がった。
また、「関連情報を入手できる場所を知らない」との回答が、全体の17.9%を占めており看過しがたい状況である。
出典:ワークネット
ウォンテッドラブのパフォーマンス推移
ウォンテッドラブは2015年に設立された国内採用マッチング市場1位のプラットフォーム企業だ。事業部は、⑴採用(AIマッチング)⑵フリーランスマッチング⑶キャリア(教育購読サービス)、⑷その他で構成されている。
2022年第一四半期連結基準売上高は109.9億ウォン(+92.7%YOY)。営業利益12.4億ウォン(+203.2%)を達成し、売上の約91.6%が採用で発生している。
同社は、採用広告とヘッドハンティング中心だった採用市場で二つの欠点を補完した差別化されたビジネスモデルで市場に素早く定着した。
2021年末基準で個人会員数は229万人で、2019年比2倍成長し、企業顧客数は2.5倍以上増加した。2022年5月基準でも前年比それぞれ29.7%、57.0%増加した。
ウォンティッドラブは随時採用拡大及び離職者数増加という採用トレンドに最も適したビジネスモデルを有しており、今後の成長が期待される。
出典:KB証券
ソウル在住の韓国人。日本での在住経験は25年。日本の有名大学を卒業し、大手シンクタンクの正社員及び経営コンサルタントとして勤務。多くのプロジェクトに携わり、ビジネス戦略とイノベーションの分野で活躍。